
桑畑
本多さんはデザイン&ダイアログといわれて今までで想い浮かぶシーンはありますか?
本多
今出てきたのは星野先生のクリニックのウェブサイトを作ったときに、ブレストとしてアイデアカードをクライアントと一緒に作って、分類していくワークショップをやったよね。あれは良かったよ。
楽しかったし、その場で創っていくって感じなんだよね。「打ち合わせをしました、次提案持っていきますね」「提案見ました、赤入れしました」というのとは全く違う世界に見えたよ。こんなことが引き起きちゃうんだっていう、、、質問の答えになってる?
桑畑
答えになってますよ。と同時に課題も見えてきました。この前ちょうどその手法をやろうと思って失敗したんですよ。その失敗は始まる前から実は失敗していたんです。事前準備ですでに・・・。
当日、クライアントは「そういうことをやるなら事前に情報を投げてくれよ!」と言われました。自分自身は前回伝えた「つもり」だったのですが、あくまで「つもり」であって、ちゃんとクライアントに伝わっているか確認していませんでした。
さらにはクライアントに緊急が入り、時間通りに始められない状態になってしまい、最後までどうまとめるか迷いながら終わりの時間を迎えてしまいました。
セットアップ(事前準備、案内)というのが本当に重要で、「このやり方で面白いことが出せる」と信頼していただけるかどうかがいかに重要かを痛感しました。そしてその信頼を得るためにはこちらが最大限の準備と説明をする必要があります。
よく営業の世界では「準備が90%」なんて言いますが、クリエイティブの世界も同様で、提案の可否も事前の準備で決まることを学びました。
本多
なるほど。大事だね
桑畑
「しつらえ」「下ごしらえ」の部分が本当に大事だなと。相手がいかに参加するモード、参加する文脈を創り出すか、そこまでできれば99%成功が見えますからね。
本多
はい、そう思います。いいじゃないですか。
桑畑
そのあたり本多さんの苦労話とかノウハウなど何かありますか?
本多
絶対遅刻しない。
特に大事な人同士を引き合わせるときの話だけど、その人たちが繋がるかどうかは僕のあり方が全てだと思っているね。僕が引き合わせる二人を本当に信頼しているかどうか、ということだよね。
最近は紹介をする立場が多いのだけど、紹介される人に僕が信頼されていて、その僕が信頼しているかということ。
紹介する人が立場を取らないと、みんな不安になっちゃうから。出逢い(マッチング)の場で影響力のある人が、どれだけあり方が整っているかどうか、効果的かどうかということはすごく大事かな。
可能性として聞いてほしいんだけど、タケルが、そのセットアップしなかったクライアントが動揺していることをも含みおいて「何も悪くない」とできるか。そして、次を創りだすモード・文脈を創りそこに惹き寄せる、そういう大きさがあれば良いと思う。
桑畑
そこでスタックせずに、本当に相手の言っていることを汲んでスパッと次にいけたら本物ですよね。
本多
何かを大事にしていると思うんだよね。「事前に言っておいてもらわないと」っていう言葉の裏側というか、深い部分には本当にいいものにしたいという想いが聞こえてくるし、状況がどうにも行かないときは一回流すっていうのもありだよね。仕切り直しましょうって、そうすると更に次が効果的になるかもしれない。
桑畑
確かにその通りです。「何かが悪い」「誰かが悪い」ではなく、「どうやったらプロジェクトを成功に導けるか」という文脈に瞬時にシフトできたらすごいですね。そしてそれは究極的にはプロジェクトやクライアントに対するコミットメント強さだと思います。
そのときもコミットメントが曖昧な部分があったから、想定外のことが起きたときにプロジェクトの成功よりも、「何かが悪い」という犯人探しや原因探しに思考が行ってしまったのだと思います。
桑畑
クリエイターが育つ土壌を創りたいです。
もうちょっと生き生きと表現できる、もしくは人のために表現できるようなクリエーターが育つ土壌というか、そんな社会を創っていきたいということを考えています。一番わかりやすいのは雇用を創出することやプロジェクトを創り出すことなんですが、うちの会社がいま、正社員をどんどん増やせるかというと今はそういう時期ではないと思っています。
ただ、社会を見渡せば正規雇用を本気で取り組んでいる企業もありますから、パートナー企業の雇用を創出していくことに貢献できるんじゃないかと考えています。
人材を採用するには、採用メディアと採用コンテンツに区分けできますが、弊社はメディアの立ち上げよりも採用コンテンツの方が持ち味を提供できると考えています。まず、企業からのメッセージを上手く可視化できないと応募者の心を打つ採用コンテンツはできないと思っています。会社概要や給与、立地や業績はもちろん大事ですが、会社の魅力をいかに「メッセージ」としてを伝えられるかどうかがポイントになります。同じ代表メッセージでも、そのメッセージをどう引き出すのか、そしてどう演出するのか、にはまさにデザイン&ダイアログの概念というか取り組みが大変有効であると感じています。
もうひとつは、採用される側(=応募者)が社会に何を求めているかという視点と感覚を取り入れるということです。ユーザ視点と言ってしまえばそれまでですが、その視点が抜けてしまうと企業側から一方的で伝わらないメッセージになってしまいます。
本多
なるほど。確かにそれはあるね。他に何か重要なことは?
桑畑
採用案件の場合、成果の指標がわかりやすいんですよ。
「何人応募して何人入った」とたいう前年との成果の比較が明確です。逆にうまくいかなかったときも明確です。
さらに言えば、期間も予算もある程度決まっているので、私たちのような小規模の企業でもチャレンジしやすいという背景があります。期間が不明確なものや、予算が急に変わるプロジェクトに関しては、正直言って人材を投入することに大きなリスクが伴いますからうちの会社には難しい。
本多
などほど。採用コンテンツはJump Start にとって色々な意味でやりがいのある領域だね。採用コンテンツの他に何か考えてるの?
桑畑
この第四期(2011年6月〜2012年5月)で自社サービスの基盤を創ろうと思っています。今パートナー企業と定期的な打ち合わせを継続しながらプロジェクトを進めています。これは遅くとも2012年には本格的にリリースできると思います。
2014年1月の時点ではJump Startの収益の50%が自社サービスからになっている状態に持っていきます。
本多
なるほど。いいと思います。
桑畑
この「採用コンテンツの企画・制作」と「自社サービスの基盤づくり」が4期のビジョン、指針になっています。このビジョンを達成するには色々と自分の「クセ」や仕事への姿勢を見直す必要があると思っています。
具体的には、僕自身、ビジョンにそぐわない仕事に関して「No」と言えるようにならないといけないと思っています。相手を傷つけたくないという気持ちや、自身の力を見くびられたくないという想いがあって、「できません」「やりません」と言うことが本当にできない。いつも勢いで「Yes」と言って、あとでスケジュールを見て真っ青になるってパターン。
・・・ここに違いを創るために何をしたら良いのでしょうか?
本多
僕は「提供するサービスの質は絶対に下げない」という立場が重要だと思うよ。提供するサービスの質が下がることが本当に嫌だね。お金が入らないことよりもそっちのほうが嫌。
仮に安くやったとしても、相手が「何倍もの値段の仕事だ」って感じていただくことが必要だなと思っているよ。
「成果」に魂をこめている俺たちは、「正価」にも魂をこめているってことでしょ?「このサービスはいくらだ」っていう正価は俺たちの魂の表現なんだよ。「2、3割安くしてお前の魂売るのか?」って話だよ。安くするときはそこまでの認識と覚悟を持って安くする。そうでなければ、正価は自分の魂だと思って、「この金額以上の価値があります」って宣言して相手に自由に選択していただく。それだけだと思うよ。
桑畑
なるほど。そうですね。わかりました。
Jump Start は値引きしません。そして価格以上の満足感と成果を提供できるよう全力を尽くします。
4期目のビジョンは100%達成します。
本日は貴重な時間をありがとうございました。本多さんのおかげで考えていることが気持ちよく引き出されました。
本多
ありがとうございました。