
2007年の創業以来、経営者のプロのコーチとして第一線で活躍する本多喜久雄さん(以下、本多)。当時から本多のコーチを受けているのが弊社代表の桑畑タケル(以下、桑畑)である。
二人の関係はコーチとそのクライアントという関係に留まらず、Jump Start株式会社の創業メンバーでもあり、本多は現在も社外取締役として、Jump Startの経営や人材育成を支援している。
創業前の桑畑のことを知る本多が、今回Jump Startおよび桑畑の成長を振り返り、そして今後のビジョンを語り合った。
桑畑
本多さんと出会ったのは2007年5月か6月頃にサカグチケンさんのご紹介でした。
本多
そうだったね。
桑畑
初めて本多さんと出逢ったときは「ビジネスコーチ」がどういうものなのかわかっていなかったけど、一緒に仕事をしてみたい何かがあって、色々と仕事で関わらせてていただくことになりました。
そんな中で、あるイベント案件で、本多さんと僕とでクライアント企業の社長さんと打ち合わせをすることになりました。
そのときに社長さんと本多さんが主に話をしていましたが、厳密には本多さんはほとんどご自身の意見を語っていませんでした。
なのに相手の社長さんがプライベートのことまで気持ち良さそうに話し始めたんです。
もともと話す方なのかもしれないけど、本多さんが相づちを打っているだけで、その社長さんがすごく気持ち良さそうに話していて、最後には本多さんに対して「さすが元リクルートだ!!」と。それを聞いて僕は「元リクルートって何だ?!」と思ったのですが、とにかく相手の社長さんのスッキリした顔が自分にとって大きなインパクトがありました。
その帰り際に「タケルにサンプルコーチングやってみようか?」と声をかけてもらったと思います。
詳細は憶えていないのですが、そんな流れでしたよね?

本多 喜久雄
1987年 慶応義塾大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。
1996年 同社所属時に、アメリカのサンフランシスコにて、コーチングの研修に参加。リクルートのマネージャーとして、コーチングを通して社内でのチームビルディングや部下の育成をし、売上げ拡大や新規事業の立ち上げを実現してきた。
2006年 リクルートを退社後、通信系ITベンチャー、プランニング会社、映像制作会社にて営業責任者、COO(副社長)を歴任。
2007年7月 プロフェッショナル コーチング オフィス『Sono Contento』(現:株式会社PCC)を設立し、現在に至る。コーチングだけでなく「ビジネスで機能するコミュニケーションの技術」を研究、実践中。ビジネスの分野では、医療、不動産、住宅、人材採用、出版、海外旅行、ゲーム、インターネットの業界に通じている。
米国CTI認定 プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ(CPCC)。
本多
合ってる合ってる。そんな感じ。
桑畑
僕自身、ずっとデザイナーをやってきてプレゼンテーションの重要性はすごく感じていました。
仕事の評価や流れがプレゼンテーション次第で大きく変わることを大学、社会人と体験してきました。
どんなに手を動かし、素敵だと思えるものを創っていても、それを相手に伝えることができなければ結果に繋がらないわけです。
本多
なるほど。
桑畑
社会人になったときに「デザイナーにとってプレゼンテーションが大事だ」と認識しながらも、新卒で入った会社では人前で大々的なプレゼンテーションする機会がありませんでした。
新卒で入った会社を辞めた後に多摩美の大学院へ進学(復学)しましたが、多摩美の情報デザインに惹かれたのは、カリキュラムの中に展示計画を含めたプレゼンテーションの領域が入っていたことがあります。必ず学期の区切りで外部の方達を呼んで展示するところまで設計することが、デザインの一環としてカリキュラムの中に組み込まれていました。そこが素晴らしいと思って。
本多
いいね。
桑畑
大学院と並行しておこなっていた専門学校の講師でも、「講義」というかたちでプレゼンテーションをある程度経験させてもらって、自身のプレゼンテーション能力が上がってきた実感がありました。これからの課題を考え始めていた時期に、本多さんとの出逢いがあったわけです。「話す」ばかりではなくて、「聞く」こともおもしろそうだし、今まで意識して訓練していなかった領域だったので、やってみようと思いました。
本多
なるほど。
桑畑
でも「人の話を聞くのが大切だ」というのは、誰でも知識として持っているし、自分も当然持っていました。
人から「人の話をもっとちゃんと聞いた方が良いよ」と言われたら、「あなたの方が聞いていないじゃん」「俺、十分に聞いてるよ」と思っていました。しかし、本多さんとその社長さんの対話を見たときに「自分が今まで知らなかった何かがあるかも」という直感めいたものがありました。
本多
あとクライアントのTさんとの打ち合わせでも何かインパクトがあったと思ったんだよ。打ち合わせが終わって、僕がいないところで、Tさんに対して「私たちの打ち合わせはどうでした?」ってタケルが聞いたんだって言っていたよ。
どんなことをタケルが言っていたかというと、「Tさん曰く、本多さんと話すことによって物事が”整理された”という話と、”元気になった”」という話をしてたな。やってみてわかることはたくさんあったなね。この一連の取り組みでタケルと僕も、いろいろやりながら、何ができるのかっていうのをわかったんじゃないかな。
桑畑
そうですね。あの時期に学んだことは今でも僕の事業の基盤になっています。しかしその後に本多さんから色々と学びながらも、一番の目標である「会社設立」には至っていませんでした。そのタイミングで本多さんの勧める他の企業の教育プログラムにも参加してみました。そのときは、僕の中では「コーチングで受けてきたものをさらにビルドアップしよう」という感覚で受けてみたんです。で、その教育プログラムで創業の「壁」になっていたものが見え、そこをクリアして創業できたんです。
・・・なんでしょうね、コーチングを受けたことによって「自分の性格が変わった」とは思っていなくて、なんて言えばいいかな、、、話している最中に、自分を俯瞰できるというか「人の話を何のために聞いていたか」が違ってきました。
本多
何のためなの?
桑畑
以前は「説き伏せるため」に人の話を聞いていました。自分の意見、主張を通すために相手の話のアラや欠点を一生懸命探していました。なので、ある意味すごく話をよく聞いてはいるのですが、あくまで自分の強烈なフィルターがかかった状態でした。自分のフィルターが「アラを探せアラを探せ」って検品しているような感じで聞いていましたね。
本多
なるほどなるほど。
桑畑
「相手のここが弱いな」と思った瞬間に自分の論理を叩き付けて説き伏せるから、結果として残るのは、説き伏せて相手を打ち負かした体験か、もしくは説き伏せられずに思うようにいかなかったか、の二択しかなかったです。
本多
それがどう変化したの?
桑畑
「自分の思い通りにしたい」という気持ちは今でも強く持っていますが、それと同時に「そうでなくてもよい」と考えている自分がいます。言い換えると「相手に喜んでもらえる面白いものができる」とか「成功しそうな企画ができる」という結果が見えれば、そのプロセスにおいて自分のアイデアが0%でもいいのでは?と思えるようになっています。
本多
なるほど。どうしてそれが可能になったの?
桑畑
「自分が予測している相手の期待」と「相手の実際の期待」がいかにズレているかを体験的に学べたことが大きいです。
本多
何か具体的に思い出せることはある?
桑畑
提案するときも提案を受けるときも、相手がどんな意図や気がかりをもっているかという「背景」を感じ取れるようになって、そのことを汲んだ会話やストレートな質問ができるようになってきました。相手にも自分にも自由な選択肢を提供できるようになった気がしています。提案内容におけるYESとNOと、自分の人格に対するYESとNOを区別して会話できるようになってきました。これもまあ、営業経験の長い人にとっては当たり前のスキルかもしれませんが、僕らクリエイティブ職の人間にとっては正直難しいことだと感じていました。想いをこめて創れば創るほど提案内容と自身のアイデンティティがくっついて区別できなくなりがちですから。
本多
なるほどね。