
桑畑
そうだ、お互いの期待の話だった。
―期待していることって。
桑畑
僕がカンジヤマさんに対して興味があるのが、
ご自身でもおっしゃってたんですけど、分岐点だと。
50歳になってこれから体力も衰えてくと。
僕は単純に興味があって。衰えたときに、どうするのかなと。
カンジヤマ
まぁ、引退しかないよね。
―えー!?
カンジヤマ
うそうそうそ(笑)これはほんと大きなテーマ。
桑畑
野球選手に例えると分かると思うけど。
カンジヤマ
桑田だって引退したし。いくつでだっけ?
桑畑
40歳直前ですよね。
カンジヤマ
でしょ?30代に入ったらもう老体の方だもんね、スポーツの世界では。
桑畑
ゴルフでもそろそろシニア。
そうしたときに、育成の方に興味が出てくるのか。
今までの芸をさらに修練していくのか、っていうところに興味があって。
僕の勝手な思い込みだとせっかく教育現場に関わってるから、
なんか集団マイムとかで一つの世界を創って欲しい。
なんか、パントマイムって1人とか2人のイメー ジがあるから、
5人とか10人とかで、ゴレンジャーじゃないけど、
さっきみたいに組み合わせ、ダイナミクスというか。
組み合わせによって初めてできるもの があるんじゃないかと思ってて。
そのへんに興味があるし、期待してます。
―そいういう話はよくされるんですか?
桑畑
してない(笑)。
カンジヤマ
いや(笑)たまーにはするけど。
Web作るときにその質問されたのは覚えてる。
今後の指針とかをしつこく聞かれるのよ(笑)。
それをすごく覚えてる。
仕事頼んだら、しつこく聞かれますから(笑)尋問だね(笑)。
―それだけ知ってると、滲み出るものもあるんでしょうね。Webから。
桑畑
少なくとも仕事の進行中においては、
カンジヤマ・マイムってどんなことしてきて何をやりたい人なの、って
人から聞かれたときに、その人以上にしゃべれないと仕事はできないから。
奥さんとは違った意味での一番の理解者じゃないと作れない。
カンジヤマ
それはすごく大切だよ。
たとえば、Webを変えるとしても、今までの指針が分かっていればこう変えたいんだって
言えば、それについてのコメントも返ってくるし、スムーズだもんね。
スムーズっていうのは、すぐ決まっちゃう、っていう意味じゃなくて、
効率的な質問が来るし、それが相手に同じ土壌の同じ言葉がある。
ベースとなる同じ単語があるのよ。同じ語彙というか。
だから、自分はこういうものを目指してるんだってことを
わかった上での話し合いだから、一番初めから説明する必要がなくなる。
それはすごい大切なことだよね。
だから、僕は彼に期待するのは、僕は僕なりに自分をいろんな方向に高めていくけども、
彼は彼なりに違う分野でのWebの上で表現するっていう試みを
かなり始めているみたいだから、それはものすごい栄養になると思うのね。
今まで僕のマイムを集中し てやってくれるのもいいけど、今度は全く離れて、
異業種のものをWebっていう手段を使ってどんどん表現していくことによって、
全然違う表現の可能性を改 革していけると思うから、
それをまたこっちに持ってきてくれるから、同じ創造の幅が出てくる。
それをすごく期待してる。そうじゃなきゃいけないと思うし。
桑畑
まず「カンジヤマ・マイムっていうパントマイムの人がいる」って聞いたときに、
自身にどういう反応があったかというと、「俺でもできる」だった。
小学校時代やったりしたこともあったわけ。
ただの遊びのパントマイムなんだけど「壁もできるよ」って。
「俺よりちょっと上手いくらいなのかな」って。負けず嫌いだから。
プロがマイムを教えてくれるっていうから
「教えてもらう何十人かいる中で俺が一番できるだろう」って本気で思ってたの。
「自分は運動神経もいいし器用だし」って、ナメてかかってたの。
でもやっぱり深いんだよね。接してみると。
できそうでできないとこに、すごく面白さがある。
たぶんカンジヤマさんの芸を見たら、まず何を思うかっていうと
「自分もできそう」だと思う。でも、実際 はそう簡単にはできない。
道具使ってないからね。パソコン使って云々とか、新体操みたいに何かを使って
やってるというよりは、ただ身体ひとつで表現してしまう。
できそうなのにできないっていうことに、悔しさと同時に楽しさがあって、
この2つのくっついた面白さっていうのを、人に伝えたい・・
って言ったらおこがましい話かもしれないけれど、
一人でも多くの人に体験して欲しいなってところから入ったの。
カンジヤマ
僕はすごくラッキーだったよね。やりたい、って言ってくれたのはすごい嬉しかった。
桑畑
同じ体験だよね。
誰かに、カンジヤマ・マイムっていうパントマイムすごい人いるんだよっていったときに、
あ、おれパントマイム知ってる。俺もできるよ、っ て反応がけっこう返ってくる。
自分が出会った瞬間に得た感覚をみんな持ってて。
それはそれでいいんだけれども、もったいないじゃない。
僕たちは身体を毎日使ってるでしょ? 運動してようがしてまいが。
でもカンジヤマさんは「動きかたとか使ってる筋肉って同じなんだよ」って言う。
要するに、特定の動きしかしていない。
人間の身体って、自動的に効率化するようにできていて、
楽なように動いてるから、あえて無駄な動きとかしないんだ。
無駄な動きをすると新しい発見があるというか。
・・・言葉で言ってもわかりにくいんだけど。
カンジヤマ
本当に面白いのはさ、僕がアメリカに長くいて、
英語を話せるようになって、日本語をすごく知ったのね。
媒体が違う所に離れて、自分の主に使ってる媒体を見てみると、そうだったんだって。
自分はその中にいるから見えないことがいっぱいある。
それが初めて見えてくるっていうのがある。
僕のマイムをWebで表現してくれるっていうのもなるほどね、っていうところもあるし。
それがシャレてれば、このセンスいいなって、僕のセンスとして見られるわけじゃない。
それはいいよね。だから、下手なWeb作ったら怖いよね。
趣味悪いWeb見たら「こいつこういう趣味!?」みたいなね。
その人の顔になっちゃうじゃない。
桑畑
弊社の広告表現も考えないとね…。
カンジヤマ
ほんとそうだよね。だって、それしか情報ないんだもの。お客さんも。
桑畑
髪ボサボサの人に髪切ってもらいたいと思いませんもんね。
爪汚い人にネイルやってもらいたいと思いませんしね。
カンジヤマ
ほんとそうなんだよ。
僕ね、アメリカ滞在の最後の方に自転車ですごい大怪我しちゃったのよ。
5針くらい縫って。血がだらだら出て、救急車で運ばれたの。
帰って舞台があるのに、すごい傷が残ったらどうしようって思ったの。
救急処置室の中に入ってきた医者をはっと見て、よかった・・・って思ったの。
同じ白衣 なんだけど、ぴしっと白衣を着てて、
アジア系のいかにもきれそうなスマートな医者だったんだよ。
あのときほど、人は見た目だと思ったことはなかった。
医者見た瞬間、よかったーって思って。何にもその人のこと知らないんだよ?
もしこれが髪がボサボサでデブでさ、汚い白衣着てたら、
もう人生終わりだと思って たと思う。たぶん。
やっぱり舞台でもそうじゃない。
「こんにちは、カンジヤマ・マイムです」って言って出てくるときにさ、
そういう人ってだいたいジャージとか汚ない安そうな 服着て名刺出してさ、
いくらそいつの芸がキレイだとしても、そう思わないでしょ。
(服装は)前振りでしょ。噺で言えば枕。私はこういう人間ですよっていう枕なわけ。
―プレゼンテーション、大切ですね。