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特別対談(1) カンジヤマ・マイム 代表 藤倉健雄 × Jump Start 代表 桑畑タケル

30年間パントマイム界をリードしてきたカンジヤマ・マイム代表 藤倉建雄さん(以下、カンジヤマ)。弊社代表 桑畑タケル(以下、桑畑)との出会いは2006年、まだ弊社が設立前まで遡る。当時大学院生(多摩美術大学)兼フリーランスのデザイナーとして活動していた桑畑がカンジヤマとイベントで会ったときにウェブサイトの提案をしたところから交流が始まる(http://www.kanjiyama.com/)。本対談では出会った当時のことから現在の活動、そして未来のビジョンまでストレートに対話した。

二人の出会いは東京大学主催のワークショップ

――
二人は、いつ、どんなところで出会われたんですか?
カンジヤマ
2年前に本郷にある東京大学でワークショップが行われまして。教育という面からのワークショップだったんだけど、そこに色んな要素を取り入れようということで、その要素のひとつがパントマイム、身体表現で。身体表現から教育的な見地から何が学べるのかという試みがあって、それで東大の先生に呼ばれました。
パントマイムをデモンストレーションすると同時に、それで何ができるのかということを、参加者に身体を動かしながら指導してほしいということで。その参加者の一人に桑畑さんがいらっしゃいました。
――
そのときは学生だったんですか?
桑畑
そうですね。企業でデザインの仕事をしていたんだけど、自身の表現の領域を広げようと模索していて大学院に復学したんです。その時に、東京大学のイベントでカンジヤマさんに出会いました。
――
前々からお会いしたいと思ってたんですか?
桑畑
いや、全然知らなかった(笑)。
テレビとか出てたらしいけど、テレビ自体ほとんど観ないので。
カンジヤマ
僕も、そのときはまだアメリカに6年行って帰ってきて、また日本で活動再開しようってときでした。2001年くらいまでは日本でずっとやってて、いろいろテレビに出てたんだけど。また再開しようっていうときに、僕もまた色々模索していて。
始めに何を模索したかっていうと…今まで32年間マイムをやってきて、「マイムの魅力ってなんですか」ってマイムを知らない全く素人の人に言われたときに、困る
何が一番困るかというと、パフォーマーとして一番言いたいのは、「見てください、実際に。見れば、感性でわかってもらえます。自分の体で感じて分かってもらえます」ということ。見てくれるお客さんは、一回見れば虜になってくれる・・・って自分で言うのもおかしいけど。仕事も来るし。それは自信はあるんだけれども、でも、そこまで連れて行くまでに、何をやっているのかを説明するのが本当にすごく難しくて30年以上苦しんだ。
やっぱり東大でデモンストレーションをやったときに、何人かの人は見てびっくりしてくれたし、面白がってくれた。その中で桑畑さんが僕のほうに来てくれて、「僕にそれをWebで表現させてください」って言われた。

二人の化学反応から生まれた新しい創造

桑畑
・・・何を話したかあまり憶えてないんだよね。でも、とにかく面白かった。面白かったと同時に、これをどう伝えたらいいんだろうっていうところに興味があった。たとえば、「パントマイム」って知ってて、なんとなくはわかるけど、でもその本当の面白さって生で見なきゃわかんないし、さらに言えば自分自身がやらないとわからない。それをどういうふうに見せるか。ただ見せるだけじゃなくて、人をどう巻き込むか、というノウハウとか、とにかく(考えるのが)面白かった
カンジヤマ
そこでやっぱり、Webっていうのはモニターの中での出来事だから、媒体として全く違うわけでしょ。僕が生で舞台で体を動かすのとは。その、違う媒体で僕の芸が表現されることがどうなのかな、ってすごく面白かった。僕より全然若いから、「この若い人は何できるんだい」みたいな感じで探ってみたいっていうのがあった。
今の時代って、一昔前までは、色んなジャンルがそれぞれ独立していて、独立したジャンルの中で専門家がいて、専門家は独立したジャンルの中で一所懸命極めていたんだけれども、最近の世の中っていうのは、壁を全部取っ払ったところで、違うジャンルの人たちが交わることによって、どんな新しい創造ができるかっていうことが色んな世界でいっぱい起こっているんですよ。学問の世界でもそうだし、芸術の世界でも、ビジネスの世界でもそうだし。「学際間」っていう、「インターディシプルナリー」っていうんだけど、色んな学問の間の障壁をとりはらって、いろんな手法を取り入れてみよう。そうするとまた違ったものが新しく見えてくる。
僕の博士論文も、教育演劇の論文なんだけれども、使ったものは、社会学の手法と歴史学、心理学、教育学そういうものを一通り自分で勉強していって、どんなことが言えるのか、どんな見方があるのか、それを全部取り入れてみると、今まで演劇学とか演劇教育学の中で見えていたものとはまた違うものが新しく見えてくる。
それと同じで、僕は動きで、舞台上で表現しているけれど、今度はWebっていうITの世界の中で、原始的な身体表現を、ITの味付けでもって見せたらどうなるのかをすごく知ってみたくて
――
すごいですよね。アナログとデジタルの。
カンジヤマ
アナログをデジタルで見せるとどうなるのか。それもただ単に見せるんじゃなくて、どんな見せ方があるのかな、っていうのが面白かった。
桑畑
組み合わせの妙みたいな感じで、デザインも「紙」とか「デジタル」とか区分けしたくなるんだけど、自分の中ではそれはあくまで手段であって。いろんなジャンルのものを組み合わせることによって、また新しいものが出てくるって考えがありますね
カンジヤマ
今よく言われることで、一般の人は「無から有を生み出す」って言うでしょ、創造って。でも実際は違うんだよね。無からは生み出せない
つまり、色んな情報や知識、経験が全くない人から何かを創造させようというのは無理だよね。子どもに、全く人生経験のない子どもに何か創造しなさい、って言うのは無理がある。子どもが創造できるのは、ある程度人生経験が少しでも蓄積された、その情報の中で、いろんなことを混ぜ合わせてみて、いろんな創造ができるわけ。僕は僕でこの世界の中で色々な蓄積があるわけじゃない。情報だとか経験だとか。彼は彼で、彼が歩んできた中でいろんな蓄積があるわけでしょ。経験、情報、いろんな。その情報量の多さ同士がこうして交わることによって、新しい爆発が生まれる。これが本当の「創造」なんじゃないかな
全く違う分野のものが混ざり合って、ぶつかり合って新しいものができるのが創造であって。無からは、新しいものは生まれないと思います。
――
じゃあ、すごい創造が生まれたんですね、二人の間で。
カンジヤマ
満足してますよ。すごく。なんでかって言うと、僕は今まで使っている論法で、いろんなお客さんに対して説得するけれど、「あとはWebを見てください」って言う。すると、僕が言ったこと以外のことが全部カバーされている。僕とは違う方面から。
だから、僕の話を聞いてからWebを見てみると、いろんな意味で、聞く人によっても得意分野だとか、好きな説明のされ方、見せられ方ってあるわけじゃない。それは、僕の話を聞くのと、Webを見て、Webを楽しむことによって、いろんな情報が補充されていく。そこでも、その人の頭の中でも創造が膨らんでくるっていう。
桑畑
そうなんですね。ありがとうございます。
       

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